女(♀)
男(♂)
神様(♂)
女:ただいまー。あー、疲れた。なんで、あんなに人が多いのかな。
男:まあ、お正月シーズンの神社はしょうがないよ。
女:そうだけど・・・それにしたって多すぎだよ。
男:まあ確かにね。
女:そういえば、あなたは神様に何お願いしたの?
男:俺?今年も二人で健康で過ごせますように。
女:それはそれは優等生的なお願い事だね。
男:何でだよ、いいじゃないか。何事も健康が大事だって?
女:そうだけど…
男:じゃあ、お前は何ておねがいしたんだよ?
女:億万長者になれますように。
男:それはそれは、何とも夢のあるお願いだこと。
女:いいじゃん。どうせ、神様が目の前に現れる訳でもないし、ちょと大袈裟なお願い事したって…
男:まぁ、それもそうか。
あ、そうだ。ちょっとお菓子でも取ってくるわ。
女:はーい、よろしくー
はぁ…神様が本当に願いを叶えてくれないかなぁ…
神様:ピカーン!どーん!!神、降臨!
女:…え?
神様:(さっきより大きめの声で)神、降臨!!
女:うわー、2回言った。
神様:大事なことなので二回言ってみました。
ところで…ちょっと!わし、神様なんじゃよ?もっと崇めてもいいんじゃよ?
女:えーっと…警察、警察っと…
神様:待つのじゃ待つのじゃ!聞いとったかの?わし、神様じゃよ!!
女:あ、すみません…何か頭のおかしい人が部屋にいるんですけど…
神様:いやいやいやいや!ちょっと落ち着くんじゃ!
女:(間髪入れずに)落ち着けるわけないでしょ!こたつのど真ん中にふんどし姿で仁王立ちしておでこに『神様』って書いてあるつるっぱげの男の人がいるこの状況のどこで落ち着けって言うのよ!
こたつのど真ん中にふんどし姿で仁王立ちしておでこに『神様』って書いてあるつるっぱげの男の人がいきなり出てきたら誰だって警察に通報するわよ!
神様:(少ししょぼんとして)…二度も言わなくても良いではないか。
女:だって、ねえ?ふんどし姿で仁王立ちでおでこに『神様』って書いてあってつるっぱげで…
神様:(セリフ終わりに被せるように)ええーい!ふんどし姿で、仁王立ちで、おでこに『神様』と書いてあるつるっぱげの神様がいても、良いではないか!
とにかく、わしが神様だと言ったら神様なのじゃ!!
女:なのじゃ!!って…
わかったわよ…百歩譲って、あなたが神様だとして、なにしにきたんですか?
神様:おっほん。よくぞ聞いてくれた!わしは、君たち二人の願いを叶えに来たのじゃよ!
女:え?ほんとに!さすが神様!じゃあ、私を億万長者にしてください!
神様:良かろう。ほれ。
女:これは?
神様:年末ジャンボ宝くじじゃよ!日本の人間はこれが好きなのじゃろう?
女:宝くじは確かに好きですけど…神様、この宝くじもちろん当たってるんですよね?
神様:わからん!
あ、そうじゃ、彼氏の方の願いはバッチリじゃよ。二人とも今年も元気一杯だ!あはははは(大笑い)
女:(ぼそっと)やっぱり警察に通報しとこうかな…
神様:さてと、二人の願いを叶えたとこじゃし帰るかの。お主ら、破魔矢を買っておったじゃろう?
女:破魔矢ですか?ありますけど…
神様:そうそう、それじゃそれじゃ。では、さらばじゃ!
(破魔矢をプスッ)
女:あ、消えた。
…本当になんだったんだろ。
男:やれやれ、お菓子どこにしまったか忘れちゃって探すのに時間掛かっちゃったよ。
…ん?お前、年末ジャンボ買ってたんだ?
女:いや、買ってなかったんだけど…さっき神様が来てくれた。
男:なんじゃそりゃ…どれどれ…
あーーーー!この宝くじ、当たってる!
女:ええ!まさか、7億円!!
男:いや、100万円!
女:なんだ…億万長者じゃないじゃん…神様のくせに中途半端な願いの叶え方…
男:いや、十分凄いだろ…
女:でもまぁ、億万長者にはなれなかったけど…二人とも健康って言ってたし、今年もコツコツ頑張りますか。
【おしまい】