女の子(♀)
サンタ(♂)
女の子:今日はクリスマス・イブ…サンタさん、来てくれるかなぁ…今年こそは…絶対に…サンタさんに会うんだ…(我慢できずに寝る)
サンタ:ほっほっほ…ようやく寝付いたようじゃの。
さて、プレゼントを上げるとしようかのう。
【罠の鳴子(なるこ)が鳴る】
(カランカラン)
サンタ:な、なんじゃ!?何の音じゃ?
女の子:(起きる)あ、サンタさんだ!
サンタ:しまった、起こしてしまったか…一体何が起こったんじゃ?
女の子:えっとね、私、どうしてもサンタさんに会いたくて、寝る前に罠を仕掛けといたんだ。
サンタ:お前さんの仕業かい!しかし鳴子とはまた古い罠を…
女の子:この前、大河ドラマでやってたから作ってみたの。
サンタ:やれやれ、テレビの悪影響も考えものじゃの…
女の子:ねぇねぇサンタさん!
私、今年もちゃんと良い子にしてたからクリスマスプレゼント持ってきてくれたんだよね?
サンタ:あぁ、そのつもりだったんじゃが…
罠を仕掛けるような子に上げて良いものか、ちょっと考えものじゃのう…(独白)
女の子:ところでサンタさん。なんで顔に変なマスク付けてるの?
サンタ:あぁ、これかい?
これは君たちがちゃんと寝付くように、事前に撒いた睡眠ガスを吸い込まないようにするためのガスマスクじゃ。
女の子:そんなもの撒いてたの!?か、換気換気!!
もう…道理で急に眠くなったと思った!
サンタ:何を言っとる。(マスクを外す)
最近の子どもたちが異様に夜更かしするようになってしまったからのう…苦肉の策じゃよ。
女の子:それはそうだけど…
もっと魔法的なもので眠らせるとかしないの?
サンタ:高度に発達した科学は魔法と区別が付かないんじゃよ?(キリッ!)
女の子:格好つけてそれっぽいこと言ってごまかさないでよ…
そういえば、サンタさんっていつもどうやってお家の中に入ってきてるの?
昔みたいに煙突なんてないし…
サンタ:あぁ、それは…これじゃよ!
「ガラスカッター」!(ドラ◯もん風に)
これを使えば、簡単に窓に穴を空けることが出来るんじゃ。
女の子:えっ?…あーっ!!
よく見たら窓に穴が空いてる!!
サンタ:高度に発達した科学は…
女の子:そんな言葉でごまかさないの!
どうすんのよ、この窓!
サンタ:大丈夫じゃよ。こうやって…(魔法をつかう)
ちゃんと魔法で元に戻しておくから。
女の子:魔法使えるなら家に入る時に使ってよ…
サンタ:だって…新しい道具を買うとちょっと試してみたくなるじゃろ?
女の子:そんな好奇心を人の家で、しかもサンタに夢見てる子に使ってほしくないよ…
サンタ:そんなこと言ってものう…最近の科学も馬鹿に出来んからこっちも勉強せねばならんのじゃよ。
この前の家なんか防犯セキュリティがすごくて大変だったんじゃよ?
女の子:あぁ、よくCMでやってるもんね。センサーって言うんだっけ?
サンタ:そうそう、多分それじゃよ。
ワシが家に入ったら、いきなり天井に張り付いたお姉ちゃんに飛びかかられてのう…
女の子:えっ!?あのCMのセキュリティって本当にあんな感じなの?
サンタ:いきなり目からビーム撃たれたり、執拗にマウント取ってこようとして大変じゃったわい…
女の子:そりゃオリンピック選手だからねぇ…というかビームも撃つんだ…
サンタ:ギリギリのところで何とかフォール勝ち出来たから助かったけどのう…
女の子:しかも勝ったんだ…
サンタ:そりゃ世の中の変化に合わせてサンタさんも鍛えてるからのう。
女の子:サンタさんも凄いけど、あの警備会社も凄いなぁ…今度お母さんに頼んでみよう…
サンタ:おっと、長居しすぎたのう。そろそろ次の家に向かわねば。
はい、クリスマスプレゼントじゃよ。
女の子:あ、ありがとうサンタさん。
サンタさんの苦労を知ったから何か異様に重く感じるよ…
サンタ:な〜に。良い子のためを思えば、こんなこと何てことないわい。
それじゃ、来年もまた良い子にしてたらプレゼントを上げるからのう。楽しみにしとるんじゃぞ。
女の子:うん、サンタさん。この後もがんばってね。
サンタ:ありがとう。それじゃ、また来年。
(時間経過)
さて・・・次の家に向かわねば…おや、おまわりさん、どうしたんですかな?
…えっ?ここは駐車禁止?
トナカイとソリをレッカー移動って…ちょ、ちょっと!おまわりさーん!
女の子:世知辛い世の中だなぁ…
【おしまい】